今日のビジネスニーズが従来型のNGFWでは満たせなくなった理由とは

数年前と今日のビジネスは、もはや同じものではなくなっています。IT技術は急速に変化し、企業ネットワークは急速に分散化、複雑化しています。これによりビジネスにメリットがもたらされる一方、大きな課題も生まれています。 

企業が直面する最大の障壁のひとつは、セキュリティインフラの進化を、ITインフラの進化が追い越さないようにすることでしょう。多くの企業は、従来型の次世代ファイアウォール(NGFW)などのセキュリティソリューションを中心に、セキュリティアーキテクチャの設計と実装に多大な時間とリソースを費やしてきました。これらのソリューションは、急速に過去の遺物となりつつあるネットワーク向けに設計されています。そのため、進化するITインフラストラクチャを、既存のセキュリティと連携させようとするのはおすすめできません。 

拡大する現代の企業 

パンデミック、ビジネスニーズの変化、新しいIT技術とセキュリティ技術の導入により近年、企業のITインフラストラクチャが進化してきました。企業のITインフラにおける最近の大きな変化には、次のようなことが挙げられます。 

クラウドの導入

ほぼすべての企業がクラウドベースのインフラを導入しており、89%がマルチクラウドを導入しています。クラウドへの移行は、重要なデータやアプリケーションを現場から切り離すことで、ますます企業の分散化を推し進めています。企業WANは、組織のさまざまなネットワークセグメント間でトラフィックを効率的かつ安全にルーティングできる必要があります。 

リモートワーク

パンデミックにより、リモートワークやハイブリッドワークへの移行が加速しました。どこからでも仕事ができるようになった今、従業員のサポートのために企業のITインフラは適応する必要があります。リモートワークとクラウドの狭間で、本社ネットワークと、その境界型セキュリティソリューションを通過すべきでない企業ネットワークトラフィックの割合が増えています。 

支店の所在地

リモートワーカーの増加の他に、企業は新たな支店を設立する可能性もあります。リモートワーカーと同様、こうした拠点の従業員も、オンプレミスのデータセンターとクラウドの両方でホストされている企業リソースへの高パフォーマンスな接続性を必要としています。 

モバイルデバイスの使用

リモートワークの普及に伴い、モバイルデバイス(企業所有と個人所有の両方)のビジネス目的での使用も増加しています。企業が所有または管理していないデバイスが、機密性の高い企業データやITリソースにアクセスできる可能性があるため、アクセス管理とトラフィック検査は企業のセキュリティにとって極めて重要です。 

モノのインターネット(IoT)機器

IoTデバイスは、組織の業務効率とデータ主導型の意思決定能力を高める可能性を秘めています。しかし、IoTデバイスはセキュリティに難があることでも知られており、デバイスが導入されている企業ネットワークのセキュリティに大きな脅威を与えています。企業のITアーキテクチャは、そうしたデバイスが企業WAN内のどこに配置されていても、それらがもたらすリスクを制限できるものでなければいけません。 

企業ネットワークの進化に伴い、もはや従来のLANに特化したセキュリティモデルは有効ではなくなってしまったのです。社内LANの保護は重要ですが、従来のネットワーク境界の外側に位置する組織の従業員やデバイスの割合が増えています。クラウドベースの資産やリモートワーカーを、境界型セキュリティで保護することは非効率的であり、またネットワークのパフォーマンスや企業の生産性の低下をまねきます。企業ネットワークの拡大と分散化が進むにつれ、セキュリティアーキテクチャは、その所在に関わらず企業WANを保護するように設計される必要があります。 

アプライアンスベースNGFWにおける重要な制限事項 

従来、ほとんどの組織は、アプライアンスベースのセキュリティソリューションによって境界型セキュリティを導入してきました。組織のITインフラと従業員のほとんど、またはすべてがオンサイトに配置されている場合、アプライアンスベースのセキュリティソリューションが企業のニーズを効果的に満たすことができます。 

しかし、この説明はもはやほとんどの企業のIT環境にそぐわなくなり、従来の境界線に焦点を当てたアプライアンスベースのセキュリティモデルは、組織のセキュリティニーズには合致しないものとなっています。次世代ファイアウォール(NGFW)のようなアプライアンスベースのセキュリティソリューションにおける主な制限事項には、次のようなものがあります。 

補償範囲の制限 

NGFWは、ネットワークに出入りするトラフィックを検査し、フィルタリングすることで、保護されたネットワークを守るように設計されています。そのためには、安全が確保されたすべてのトラフィックが流れるように配置する必要があります。このため、保護されたネットワーク(クラウドの展開、リモートワーク、支店の増加に伴い、ますます拡張が困難となっている)に導入するか、すべてのトラフィックを迂回経由させる必要があり、遅延が増大してネットワークパフォーマンスに悪影響を及ぼすため、拠点を複数もつ企業のセキュリティ確保には限界があるのです。 

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スケーラビリティの制限 

アプライアンスベースのNGFWは、そのハードウェアによって制限され、検査し保護できるトラフィックの最大量と速度があります。クラウドベースのインフラを採用する企業が増えるにつれ、需要の増加に合わせてクラウドリソースが急速に拡張できるため、このような課題が生じています。アプライアンスベースのセキュリティソリューションの拡張には、企業の俊敏性を制限する高価で時間のかかるプロセスである、追加のハードウェアの取得と導入が必要なこともあります。 

複雑な管理とメンテナンス 

NGFWのようなセキュリティソリューションの効果を保つには、導入環境のセキュリティ上の懸念に対処できるように調整する必要があります。クラウドベースのインフラ、リモートワーク、支店など、企業が拡大するにつれて、さまざまな環境を保護する必要が出てきます。その結果、さまざまなセキュリティソリューションやカスタム設定が、セキュリティ管理を複雑で拡張性のないものにしています。 

従来のNGFWは、組織の資産をソフトウェア定義の境界の内側に保護し、組織の管理下でインフラを使用できる企業IT環境向けに設計されていました。企業ネットワークの進化により、こうした前提が無効化されるにつれ、従来のNGFWや同様に境界を重視するアプライアンスベースのセキュリティソリューションは、もはや現代企業のニーズに合致しなくなっています。 

現代ビジネスのためのNGFWの再設計 

企業のデジタルトランスフォーメーションへの取り組みや、変化する市場において競争力を維持するための努力が、新しいテクノロジーの導入に拍車をかけています。企業資産がクラウド上に保管され、ITアーキテクチャが分散されるケースが増えています。 

従来型セキュリティソリューションを使って現代企業の必要とするセキュリティを確保する場合、企業はネットワークパフォーマンスとセキュリティのどちらかを諦めざるを得なくなります。ITアーキテクチャがクラウドに移行し、分散型になるにつれて、NGFWなどの企業サイバーセキュリティソリューションもそれに併せて変化する必要があります。 

企業ネットワークが進化することにより、NGFWの従来の限界を克服し、他の主要なネットワークとセキュリティ機能を統合するセキュア・アクセス・サービス・エッジ(SASE)ソリューションの開発が推進されました。こうしたクラウドベースのソリューションは、組織に次のようなさまざまなメリットをもたらします。 

  • グローバルな展開:SASEのクラウドネイティブソフトウェアは、世界中のPoP(Point of Presence)に展開されています。これにより、オンプレミス、クラウドベース、リモートの各デバイスと最寄りのPoPとの距離を最小化し、どこでもNGFW機能を提供することが可能となります。 
  • 可視性の向上:SASEでは、企業WAN上を移動するすべてのトラフィックが、少なくとも1つのSASE PoPを通過します。これにより、セキュリティ検査とポリシー適用が可能となり、企業ネットワークトラフィックの総合的な可視化が実現します。 
  • 管理の簡素化:SASEのすべての機能は可視化され、管理されます。これにより、セキュリティの監視と管理が簡素化され、統一された一貫性のある管理が可能になります。 
  • セキュリティの統合:SASEのPoPは、多くのセキュリティとネットワーク機能を1つの一貫性のあるサービスとして統合し、スタンドアローンのソリューションに比べ、より優れた最適化を実現します。 
  • 拡張性のあるセキュリティ:SASEのPoP上では、クラウドネイティブソフトウェアが実行されています。ダウンタイムや顧客の関与なしで、増え続ける需要に対応するためのスケールアップが柔軟に行われます。企業はもはや、ハードウェアの中期的な故障や修理を心配する必要はなくなったのです。 
  • パフォーマンスの最適化: ユーザーとアプリケーションのトラフィックを中央のセキュリティスタックに転送する代わりに、ユーザーとアプリケーションの元にセキュリティを配信することで、ネットワーク待ち時間が短縮され、ユーザーエクスペリエンスと生産性が向上します。

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