2022年12月08日 2m read

5分でわかる:なぜSASEの2年後に「SSE」が提唱されたのか

Kosuke Tajima
Kosuke Tajima

2019年に米ITアドバイザリ企業であるガートナー社により提唱された、新しいエンタープライズネットワーキングのカテゴリである「SASE」。SASEの概念が提唱された半年後、世界的にコロナウィルスのパンデミックが拡大し、リモートワークの機会が激増しました。これにより多くの企業が、根本的に自社のネットワークとセキュリティを見直さなければならない事態に直面したため、2020年はSASEを導入する企業が飛躍的に増加した「SASE元年」とでもいうべき年となったのです。

しかしその直後の2021年、ガートナーは「クラウド・セキュリティのハイプ・サイクル:2021年」において「SSE(Security Service Edge)」を提唱しています。なぜガートナーはSASE提唱後、たった2年でSSEの提唱に踏み切ったのでしょうか。

SASEとSSEの違い

ガートナーのSSE定義により、SASEはオンプレミスのSD-WANを中心としたネットワークサービスと、クラウドネイティブなセキュリティサービスの組み合わせであることが明確となりました。SASEのネットワークとセキュリティ機能という2つの柱のうち、セキュリティ機能に該当する部分がSSE(下図参照)であると位置付けられています。

SASEは、よりカバー範囲が広く総合的なアプローチにより、安全で最適化されたアクセスを実現することで、ユーザー環境を最適化し、すべてのアクセスとトラフィックを脅威、攻撃、データ損失から保護します。SSEは、統合クラウドネイティブサービスとしてSWGやCASB/DLP、ZTNAを組み合わせたもので、インターネットやSaaS、特定のプライベートアプリケーションへのセキュアなアクセスを提供する一方、WANリソースへのセキュアなアクセスには対応しません。 

なぜ今SSEなのか

SD-WANは、本社やデータセンターを経由せずとも、支店や営業所など直接インターネットに接続することを可能とし、これによりSaaSやクラウドへのアクセス速度向上を実現します。しかしながらSD-WANは、ほとんどのワーカーがオフィスに出社するという、コロナ以前の環境に合致したソリューションでした。コロナ禍に多くの企業がリモート/ ハイブリッドワークへ移行したことにより、オフィスから直接インターネット接続することの必要性が低下し、それに伴いSD-WANの必要性も低下しました。一方、リモートワーカーへの保護の必要性は拡大しているため、ガートナーはSASEに比べ導入の難易度もコストも低いSSEを提唱したものと考えられます。

SASEとSSE、組織はどちらを選ぶべきなのか

ガートナーは、2022年に求められるクラウドセキュリティ技術としてSASEとSSEの両方を挙げ、SASEは今後2~5年、SSEは3~5年で変革的インパクトを与えると予測しています。そんな中ITの専門家たちは、今後のITインフラの在り方にどう取り組むべきかの岐路に立っています。最初から完全に統合されたSASEを選ぶべきなのか、SSEの導入からセキュリティの変革をはじめて、段階的にSD-WANレイヤーを統合していくべきなのか、様々なアプローチがあると思います。いずれにせよSSEの導入は、確実に将来のネットワーク変革やアーキテクチャの統合、ビジネススピードの向上、運用負荷とコストの軽減を実現する戦略的な意思決定といえます。業界の流れはSSE提唱後も変わらず、最終的にSASEへと行き着くものと予想されています。

Cato SSE 360は、SSEを拡張し、すべてのトラフィックに対する完全な可視化と制御、グローバルなアプリケーションアクセスの最適化を提供します。完全なシングルベンダーによるSASEへのシームレスな接続を、必要に応じてサポートする唯一のサービスであるCato SSE 360をより詳しく知るには、ホワイトペーパーをお読みください。

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田島は、Cato Networkの日本のビジネスをカントリーマネージャーとして率いています。田島は、日本国内のテレコム、ネットワーク分野で複数の外国企業のビジネスをゼロより構築および成長させ、日本の販売組織をリードしてきた20年以上の経験があります。 Cato Networks以前は、Big Switch Networks(米)、6WIND(仏)の日本担当 カントリーマネージャーを務め、両社においてSDN /クラウドビジネスの国内での成功に導きました。これには、販売、マーケティング、ローカル拡張のためのチャネル開発のすべての業務が含まれます。

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