2025年10月20日 2m read

AIトランスフォーメーションを安心して進めるために:Cato NetworksがAim Securityを買収した理由 

Shlomo Kramer
Shlomo Kramer

あらゆる大きなテクノロジーの波は、企業セキュリティのあり方を塗り替えてきました。インターネットの登場はファイアウォールを生み出し、SaaS への移行は CASB や DLP をもたらしました。クラウドへのシフトとハイブリッドワークの台頭は、ネットワーク変革を実現するために SASE のような新しいアーキテクチャを必要としました。そして今、AI革命は、まったく新しい攻撃対象領域を生み出しています。それは大きな変化をもたらすものであると同時に、非常に緊急性の高い課題でもあります。 

Cato では一貫して、「次に訪れる企業ITの変化を、安全に支えられる柔軟なアーキテクチャをつくる」という信念のもとに取り組んできました。AIセキュリティ分野のリーダーである Aim Security の買収は、その姿勢をさらに発展させたものです。これにより、ITは次の時代――AIトランスフォーメーションの時代――を安心して乗り越えていけるのです。

なぜ Aim なのか、なぜ今なのか 

いま企業は、あらゆる業務領域で AI 活用を一気に進めています。社員は ChatGPT を試し、各部門は Microsoft Copilot を導入し、開発チームは独自の AI エージェントを作り出しています。ですが、こうした取り組みの一つひとつが、機密情報の流出やコンプライアンス違反、さらには攻撃者に新たな突破口を与えるリスクにもつながりかねません。 

Aim は、まさにこうしたリスクに対処するために、ゼロから設計されたプラットフォームを開発しました。そのソリューションは、エンタープライズ AI における重要な3つの領域を包括的に守ります: 

  • あなたが利用するAI – 公開AIサービスとのやり取りを制御 
  • あなたが構築するAI – 社内のAIアプリやエージェントを実行時に保護 
  • AIライフサイクル – エンタープライズAIモデルの開発から運用までを堅牢化 

この幅広さと深さが、Aim を他と一線を画す存在にしています。大規模企業においても高い導入実績を持ち、AIセキュリティを大規模に運用へ落とし込む力を証明してきました。Cato にとって、この能力を取り込むことは、私どものお客様の AI トランスフォーメーションを安全に推進するための、最も迅速かつ確実な道だったのです。 

Catoにとっての意味 

Cato SASE Cloud プラットフォームは、すでに企業トラフィックを制御するグローバルなハブとして機能しています。ユーザーとクラウド、拠点とデータセンター、IoTとアプリケーション──あらゆる接続がこのファブリックを通過し、その可視性と制御範囲はいまや AI にまで広がろうとしています。 

Aim のインスペクション技術を分散型実行レイヤー「Cato SPACE」に組み込むことで、プロンプトやレスポンス、エージェントのワークフロー、モデル出力など、AI に関わるやり取りをリアルタイムに解析できるようになります。これは単なる DLP を AI 向けに焼き直したものではなく、AI 時代に新しく生まれた攻撃対象領域に応えるための、まったく新しいセキュリティ能力です。そして Aim の技術は、その目的のために設計されたものです。 

当面は Aim を単独製品として利用できますが、2026年初頭には Cato プラットフォームに統合される予定です。これにより、お客様は今すぐ AI セキュリティを導入し、将来的にはシームレスに SASE へと発展させるという柔軟な道筋を手に入れることができます。  

企業にとってこれが意味すること  

AIセキュリティはまだ始まったばかりの分野ですが、その必要性はもはや疑いようがありません。過去にウェブやクラウド、メールに制御が求められたように、今後はAIとのやり取りにも管理が不可欠になります。大きな違いは、そのスピードです。AIの導入は年単位ではなく、数か月単位で広がっており、その切迫感こそが私たちが今動いた理由です。 

ITリーダーや企業にとっての重要なポイントは以下のとおりです。 

  • あらゆるAI利用ケースを守る – 従業員が公開AIツールを使い、部門がコパイロットを導入し、開発チームが独自エージェントを構築する。こうした入口ごとに対策がなければ、機密情報の流出やコンプライアンス違反につながりかねません。すべての利用シーンを幅広くカバーすることで、安心してAIを取り入れることができます。 
  • 断片的なツールではなく統合的なアプローチを – つぎはぎのようにバラバラなソリューションでAIリスクを管理すれば、必ず隙間や重複、運用の複雑さが生じます。AIセキュリティを既存のIT環境に自然に溶け込むクラウドネイティブな単一プラットフォームにまとめることで、企業はリスクを減らし、ガバナンスをシンプルにできます。 
  • リサーチに基づいた防御を – AIへの攻撃は進化のスピードが速く、汎用的なセキュリティツールでは対応が後手に回りがちです。AI特有の脆弱性を専門に調査し、その知見を素早く防御策へと反映するリサーチチームがいることで、企業は常に攻撃者を先回りできるようになります。 

CatoとAimが組み合わさることで、企業はAimが持つ幅広く深いAIセキュリティ機能を活用できます。その機能はCato SASE Cloudプラットフォームを通じて、AIが導入・利用されるあらゆる場所で提供されます。さらに、最先端のリサーチに裏打ちされているため、絶えず進化するAI脅威の状況に対しても、常に最適な保護を継続的に確保することができます。  

未来への道 

この10年近く、Catoは企業のネットワーク変革をシンプルかつ安全に進めるパートナーとして信頼されてきました。硬直したレガシーインフラを置き換え、統合されたグローバル規模のクラウドネイティブプラットフォームを実現してきたのです。いま、その同じ変革がAIの領域でも始まっています。SASEが新しいネットワークとセキュリティの時代を切り開いたように、これからはAIのスピードと複雑さに対応するため、その基盤をさらに拡張していく必要があります。私たちの姿勢は一貫しています。組織が次に訪れる変化に、大胆かつ安全に挑めるようにすること。いま私たちは「セキュアなAIトランスフォーメーション」という新しい時代を、共に歩み始めているのです。 

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Shlomo Kramer

Shlomo Kramer

Co-Founder and CEO

Cato Networksの共同設立者兼CEO。ネットワークセキュリティの専門家であり、連続起業家でもあります。初の商用ファイアウォールを開発したCheck Point Softwareと、ウェブアプリケーションファイアウォールを開発したImpervaの共同設立者です。Palo Alto Networks、Trusteer、Gongなどの大成功を収めたエンタープライズソフトウェア企業に初期投資を行ってきた実績があります。

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